従業員も労務担当者も要確認!源泉徴収票をチェックする3つのポイント
給与計算ソフトだから必ず正しい計算や書類が作成できる。
そんな風に思う労務担当者も多いことでしょう。私もそうでした。しかし、想定外の仕様により誤りを発見し、「ドヒャーー」ということに直面しました。もっと早く気付けたらよかったんですが、今からでもやり直しは間に合うと思うのでシェアします。皆さま要チェック。
特に次のような方はぜひご自身で源泉徴収票をチェックをしてみましょう。
- いわゆる老舗のものではなく、新鋭の給与計算ソフトを導入した時
- その給与計算ソフトで初めて年末調整を行った時
- 自分の源泉徴収票の内容があっているかどうかを確認したい従業員さん
源泉徴収票のチェックのポイント
1.「支払金額」をチェック
この欄は、「課税支給額」の年間合計の数字が入ります。課税支給額とは、所得税の課税対象となる、さまざまな控除が行われる前の金額です。通勤手当(月15万以上の部分は課税対象となります)、経費精算分などは含まれません。
例えば、
- 基本給 30万
- 役職手当 5万
- 通勤手当 1万
- 立替精算 5千円
この場合の課税支給額は基本給+役職手当の35万となります。もし1年間の給与が同額の場合は「35万×12ヶ月=420万」が源泉徴収票の支払額欄に表示されます。
- 賞与がある会社は賞与分も含みます。
- 年の途中で転職しているかたは、提出した前職の源泉徴収票の支払金額も含まれます。
まずはこの支払額の金額があっているかを確認しましょう。
とある給与計算ソフトでは、一部の金額を年末調整画面で入力すると、集計がロックされてしまい、「再集計」などのボタンを押してもあとから確定した12月支給給与などが取り込まれないという仕様になっています。先に年調データを入れて、あとから給与を確定した場合、「再集計」的なことをしないと計算が回らないというのは全然よくあるんですが、「うーーーーん、それはちょっとわからないぞ」という操作やデータの入力のし直しをしないといけない仕様となっていました。一部の情報入力だけが対象のため、これはなかなか気がつけない。。。
- 労務担当者は、賃金台帳の課税支給額合計と源泉徴収票の支払金額があっているか確認しましょう。
- 従業員さんは自分で計算した金額と合わない場合は労務担当者に問い合わせてみましょう。自分では把握していないものあるかもしれないので、「間違ってる!!」と決めつけず、まずは「内容の確認をしたい。」と申し出ましょう。
この「支払金額」が合っていないとその後の計算が全部おかしくなります。まずはこの金額をチェック!
2. 扶養家族が表示されているかチェック
「給与所得者の扶養控除等申告書」で申告した扶養家族の情報が表示されているか確認しましょう。16歳未満の家族は所得税には影響ありませんが、新年度の住民税に影響があります。
所得税が関係ないからと、入力を忘れていることもあります。平成28年分から源泉徴収票の様式が変わり、扶養家族欄ができましたので見やすくなりました。家族がいるかたはチェックしておきましょう。
前職情報が摘要欄に表示されているかチェック
年の途中で転職をしていて、前職から該当年分に給与を受けていた場合、支払金額や社会保険料など、前職の源泉徴収票に記載される数字も合算して年末調整が行われるのですが、現職で発行される源泉徴収票の摘要欄には前職の会社名、支払額などの情報を表示させる必要があります。これがないと、住民税の計算基礎となる金額が二重加算されるなんてこともあり得るので要チェック!
(↑これは入力がされていないパターンです。会社名、住所、退職日、支払金額、社会保険料、源泉徴収税の情報表示が必要です。)
どのように影響するかといえば、摘要欄に前職情報がないと前職分が含まれているのか、含まずに年調してしまったのかわからないんです。
たとえば2月に転職していた場合、
- 前職の会社からは支払額70万の給与支払報告書が市区町村に送付されます。
- 現職の会社から支払額580万の給与支払報告書が市区町村に送付されたとします。
そうすると、現職の支払額580万に前職分70万が含まれているのかどうかの予測はかなり難しい。10ヶ月在籍分で580万の支払額ってありえますからね。。前職分と現職分を合算した金額を元に住民税が計算されてしまう、なんてことが発生してしまう可能性があるんです。
確認の連絡をくれる市区町村もあるかもしれませんが、確認をしない市区町村もあるかもしれない。
とある給与計算ソフトはこの前職情報を入力する欄自体がありません。摘要欄に表示させる欄もないんです。これでは市区町村にも迷惑かけるし、何と言っても従業員に不利益をもたらしてしまう可能性がある。非常に残念です。
昨年転職している方は、もらった源泉徴収票に前職情報が摘要欄に表示されているかどうか、しっかり確認しましょう。
当たり前が当たり前じゃないことになっている哀しさ
このように、「当たり前」であったことが当たり前ではない給与計算ソフトが流通しており非常に残念に思っています。金銭面で直接的な不利益をもたらしてしまうというのはさすがにダメだと思うんですが、そうなってしまってるなら自分で自分の身を守るしかない。
他にもポイントはありますが、まずはこの3つは労務担当者も従業員本人もおさえておきましょう!